ワシヅオートセンターです

トヨタ ハイエース(TRH226K)のキャンピングカーです
「オーバーヒートして、もうエンジンが掛からない」との事で、キャンピングカー屋さんからの依頼で入庫しました
まずは現状を確認してみます

クランキングさせてみると、マフラーからは大量の冷却水が排出せれます
もちろんエンジンは掛かりません

エンジンルームを覗いてみますが、いたる所から冷却水が漏れてます

すこし写真の時系列が前後してますが、エンジンオイルはとてつもなく焼けたにおいがします
オイルと一緒に冷却水もじゃんじゃん出てきます
完全にエンジンブローです
エンジンは載せ替え決定です
本来でしたら、オーバーヒートした原因を探求したのち作業を進めるのがセオリーですが
この状態では探しようがないので、作業を進めながら探していこうと思います

そんなわけで、エンジン摘出

メンバーとトランスミッションもごっそり降ろしました

エンジンの後ろ側なんですが、ブロックが茶色くなっています ブロックは黒く塗装されてるのですが、塗装が剥げてかつ変色したんですね
相当な熱を帯びていたということですね
さらによく見てもらうと、エンジンハーネスの取付ボルトところプラスチックが溶けています

シリンダーヘッドカバー(タペットカバー)も熱によって変形
写真の右側の方が持ち上げってしまっています

インテークマニホールドも溶けてしまっています
リビルドエンジンにはインマニは付いてきませんので、これも新品に交換しないとです

たしかオイルセンサーだったと思いますが、溶けて首をかしげてます
熱害がどこまで影響してるか分かりません
エンジンに直接取り付けられてるセンサー・ハーネス類も全て新品にしていきます
再利用して後からエラーが出てしまうと厄介ですので

リビルドエンジン到着

旧エンジンを摘出

NEWエンジンをセット

本来でしたら、全ての部品を装着した状態で戻したかったのですがエンジンハーネスが欠品で届かないので先に車体に戻しました
ハーネスを付ける際に邪魔になるインマニ等も後で装着です

エンジンハーネス到着

部品をすべて装着し、エンジンオイルや冷却水を注入
無事エンジンを始動することが出来ました
すこしホッとしましたが、大事なのはここからです
オーバーヒートの原因を見つけなければ、この車はまたオーバーヒートします

診断機を接続し、冷却水温をモニターしながらエア抜きを確実に行ったつもりなんですが
数時間経つとリザーブタンクが空っぽになってしまいました
エア抜きが不十分だったのかな? っと思って再度行ったんですが、やはりリザーブタンクが空っぽになってしまいます
これはどこかに減る原因があるので点検していきます

ラジエターキャップテスタで加圧してみて、様子を見ようとしますが…どんだけシュコシュコしても圧が上がりません(写真は後撮りなので上がっています)
通常どこかに漏れ箇所があっても一旦圧は上がります それで徐々に圧が下がってくるのですが、今回は全く上がりません
一瞬テスターが壊れちゃったのかと思いましたよ
どこかから漏れてるのは間違えないのですが、本来ならジャジャ漏れのはずです…
なのですが…、どこからも漏れてこないんです
エンジンルームも下廻りも漏れてませんし、エンジンオイルやATFに混入している形跡もありません


車外に漏れてなければ、残るは車内です
下から見て、冷却水のホースが車内へ2箇所に通っています

1箇所は車内のヒーター ここは問題なさそうですね

もう一か所はここの流し台
これ、温水を出すことが出来ます
台の下には給水タンクがあるのですが

あれ?右のタンクに冷却水が入ってます。なぜここに冷却水が溜まってるのでしょう?
両タンクとも流し用の水を溜めるタンクなのですが、左のタンクはただの水、右のタンクは温水にする用の水を溜めておくタンクです
この二つのタンクの水をミックスしてちょうどいい温度のお湯が流しから出てきます
もちろんですが、冷却水を入れるタンクではありません このままでは流しから冷却水が出てきちゃいます

ラジエターキャップテスターをシュコシュしたら、ボコボコと泡が発生
テスターの圧は全てここに逃げていたようです
なぜ、ここに冷却水が来てしまうかといいますと

原因はこの黒い筒
ヒートエクスチェンジャーいう部品です
2系統の水路が接続されてまして、1つはここまでエンジンの冷却水が流れてきています。もう1つは先ほどの右の水タンクから吸い出された水です。
冷却水の熱を利用して、右のタンクの水を温めて蛇口からお湯が出るようになります
もちろんですがタンクの水と冷却水は別々の通路を通るのですが、今回はここが繋がってしまったんですね

キャンピングカー屋さんに新品を手配して頂きました
すぐ届きました 意外と在庫があるもんなんですね

新品を取付しました(こぼれているのは接続時の水です)
この作業の結果

冷却水が安定しました
タンクに冷却水が溜まることもなく、加圧しても圧が下がることもなく、その他の箇所からも漏れてる形跡はありません
試運転実施後も問題ありません

ちなみに、例のヒートエクスチェンジャーを分解したところ
配管に穴といいますか亀裂がありました
なぜ穴が開いてしまったのかは定かではないですが
この穴から冷却水が漏れ出し、漏れた冷却水はタンクへ、冷却水不足でオーバーヒート これが原因ですね
エンジン載せ替え後も冷却水が減ってしまうのも、加圧できなかったのも辻褄が合いました
これにて、安心してお車を引き渡すことが出来ました
今回のオーバーヒートはキャンピングカーならではの、ちょっと特殊な原因でした
車検・点検はもちろんですが、日々のお車のチェックも大事ですよ
万が一、エンジンチェックランプやなにかの警告灯が点灯した際は無理して走ろうとせず
安全な場所な停車して車屋さんに相談しましょう